ホーム ICT用語集 EDR(Endpoint Detection and Response)

EDR(Endpoint Detection and Response)

20
0
EDR PCカフェ

EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイント(PC、サーバー、スマートフォンなど)におけるサイバー攻撃や不審な挙動を継続的に監視し、脅威を早期に検知、分析、対応するためのセキュリティソリューションです。

EDRの仕組み

EDRは、通常以下の要素で構成され、連携して機能します。

  1. エンドポイントエージェント: 各エンドポイントにインストールされるソフトウェアで、プロセス、ネットワーク接続、ファイル操作、レジストリ変更などの様々なログやイベントデータを収集します。
  2. データ収集・分析基盤: エージェントから収集された大量のデータを集約し、分析を行うサーバーまたはクラウド上のシステムです。
  3. 脅威インテリジェンス: 既知のマルウェア情報、攻撃手法、脆弱性情報などを活用し、分析の精度を高めます。
  4. 分析エンジン: 収集されたデータと脅威インテリジェンスを照らし合わせ、機械学習や振る舞い分析などの技術を用いて、不審な活動やサイバー攻撃の兆候を検知します。
  5. 対応機能: 検知された脅威に対して、隔離、駆除、修復などの対応策を実行したり、セキュリティ担当者にアラートを通知したりします。
  6. 可視化・管理機能: エンドポイントのセキュリティ状況や検知された脅威の情報、対応状況などを分かりやすく表示する管理画面を提供します。

EDRの主な機能

  • リアルタイム監視: エンドポイントの活動を常に監視し、不審な挙動を即座に検知します。
  • ログ収集・分析: 詳細なログデータを収集し、高度な分析によって潜在的な脅威を特定します。
  • 脅威の特定と可視化: 感染した端末や攻撃の経路、被害状況などを特定し、分かりやすく表示します。
  • インシデント対応: 検知された脅威に対して、迅速かつ適切な対応(隔離、駆除、修復など)を支援します。
  • フォレンジック調査: 攻撃の痕跡を分析し、原因究明や再発防止に役立てます。

EDRのメリット

  • 高度な脅威検知: 既知のマルウェアだけでなく、未知の脅威や標的型攻撃など、従来のセキュリティ対策では防ぎきれない高度な攻撃を検知できます。
  • 迅速なインシデント対応: 脅威を早期に発見し、迅速に対応することで、被害の拡大を最小限に抑えることができます。
  • 包括的な可視性: エンドポイントの状況を詳細に把握できるため、セキュリティリスクの全体像を把握しやすくなります。
  • インシデント分析と再発防止: 攻撃の経緯や影響範囲を分析することで、効果的な再発防止策を講じることができます。
  • テレワーク環境のセキュリティ強化: 社内ネットワーク外のデバイスも監視・保護できるため、テレワーク環境におけるセキュリティリスクを軽減できます。

EDRのデメリット

  • 導入・運用コスト: 比較的高価なソリューションであり、導入や運用に専門知識やリソースが必要となる場合があります。
  • 運用負荷: アラートの分析や対応には、セキュリティ担当者の負担が増加する可能性があります。
  • 誤検知のリスク: 正常な活動を脅威と誤って検知する可能性があります。
  • 専門知識の必要性: EDRの効果を最大限に引き出すためには、セキュリティに関する高度な知識や分析スキルが必要です。

EDRとEPP(Endpoint Protection Platform)の違い

EDRとEPPはどちらもエンドポイントを保護するためのセキュリティソリューションですが、その主な目的とアプローチが異なります。

  • EPP: 主に既知のマルウェアの侵入を防ぐことを目的としており、シグネチャマッチングや振る舞い検知などの技術を用いて、脅威が実行される前にブロックします。
  • EDR: マルウェアが侵入してしまった後の活動を監視し、不審な挙動を検知して対応することを主な目的としています。

近年では、EPPの機能にEDRの要素を統合した製品も登場しています。

EDRソリューションの選定ポイント

  • 検知能力: 高度な脅威や未知のマルウェアを検知できるか。
  • 対応機能: 脅威に対する自動対応機能や、セキュリティ担当者の対応を支援する機能が充実しているか。
  • 使いやすさ: 管理画面の見やすさや操作性、アラートの分かりやすさなど、運用しやすいか。
  • パフォーマンス: エンドポイントへの負荷が少ないか。
  • 連携性: 他のセキュリティ製品やシステムとの連携が可能か。
  • サポート体制: ベンダーのサポート体制が充実しているか。
  • コスト: 導入費用、運用費用が見合っているか。

主要なEDRソリューションプロバイダー

EDRは、現代の高度化するサイバー攻撃に対抗するために不可欠なセキュリティ対策の一つです。自社の環境やニーズに合わせて適切なEDRソリューションを選定し、導入・運用することが重要です。