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オフィスのネットが遅い?犯人はデスクの下に潜む「古いスイッチングハブ」かもしれない

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高速回線にした筈なのに、社内のLANが遅い・・・

オフィスのインターネット回線を「NUROアクセス」や「フレッツ光クロス」などの高速回線に乗り換えたのに、「なぜかファイルのダウンロードが遅い」「Web会議が頻繁に途切れる」といった悩みを抱えていませんか?

ルーターも最新、パソコンも最新。それなのに社内LAN全体がもっさりしている場合、その原因はネットワークの片隅にポツンと置かれた「たった1台の古いスイッチングハブ」にあるかもしれません。

今回は、ネットワークの基本知識を交えながら、古い「10/100Mbps対応」のスイッチングハブがネットワーク上に存在すると、どのような悲劇(ボトルネック)を引き起こすのかを詳しく解説します。

ネットワーク速度の基本:100Mbpsと1Gbpsの違い

トラブルの原因を探る前に、まずはネットワーク機器の「速度規格」について簡単におさらいしておきましょう。

現在、オフィスや家庭で使われている有線LANの主流は「ギガビットイーサネット(1000BASE-T)」です。これは1秒間に1ギガビット(1000Mbps)のデータを転送できる規格です。また最近では光クロスなどの高速回線の登場により、2.5Gbpsに対応したスイッチングHUBや更に高速な10Gbpsに対応したHUBも登場しています。

▼エレコム スイッチングハブ ギガビット 8ポート

最大1,000Mbps(1Gbps)のスピードに対応したギガビットイーサーネットのHUBが最も一般的なHUBとなっています。(※写真はELECOMの8ポートギガビットスイッチングハブ)

▼プラネックスの2.5Gbps対応HUB

最近価格も安くなり、導入が進んでいる2.5Gbps対応の高速スイッチングHUB(※写真はプラネックス社製の8ポートスイッチングハブ)

プラネックス Planex 8ポート 2.5GBASE-T 高速 省電力 スイッチングハブ FX2G-08EM2

▼TP-Link10Gbps対応スイッチングHUB

※10Gbps対応のスイッチングHUBはまだ数万円の価格帯で、一般家庭ではほとんど使われていない。(写真はTP-LINK社の5ポートHUB。5ポートでは3~5万円程度の実勢価格)

TP-Link スイッチングハブ 10gbps対応 5ポート 全ポート10g マルチギガ対応

一方で、10年以上前に主流だったのが「ファストイーサネット(100BASE-TX)」。こちらは最大100Mbpsです。数字を見れば一目瞭然ですが、ギガビットの10分の1の速度しか出ません。

  • 10Gbps/2.5Gbps/1Gbps (10000Mbps/2500Mbps/1000Mbps): 現代の標準。大容量の動画ファイルやクラウド上のデータもサクサク動く。
  • 100Mbps: 一昔前の規格。テキストや軽いWeb閲覧なら問題ないが、現代のビジネス用途(NASへの大容量バックアップ、4K動画のやり取りなど)では完全に力不足。

「ネットワークは一番遅い部分に足を引っ張られる」の法則

ネットワーク通信において最も重要な基本原則があります。それは「通信速度は、経路上の『最も遅い機器』に制限される」というボトルネックの法則です。

これを道路に例えてみましょう。 どんなに車(パソコン)が高性能なスポーツカーで、出発地点(ルーター)と到着地点(サーバー)が片側3車線の高速道路で繋がっていたとしても、途中に「1車線しか無い古いトンネル(100Mbpsのハブ)」があれば、そこで大渋滞が発生します。スポーツカーも、そのトンネル内はゆっくり走るしかありません。

古いハブが1台あると、どんな悲劇が起きるのか?

では、社内のどこかに「10/100Mbps」の古いスイッチングハブが残っていた場合、具体的にどのような影響が出るのでしょうか。

① そのハブに繋がっている全員の速度が「最大100Mbps」に落ちる

例えば、ある部署の島(デスク)にLANポートが足りなくなり、誰かが昔使っていた古いハブを勝手に持きてきて増設したとします。 壁のLANポートからギガビットでデータが来ても、そのハブを経由してパソコンに繋がっている従業員は、全員100Mbpsの速度制限を受けることになります。「私の席だけネットが遅いんです」というクレームの典型的な原因です。

② 「基幹部分」に混ざっていると社内全体が巻き添えに

さらに恐ろしいのが、ルーターから各フロアへ分岐するようなネットワークの根幹(バックボーン)に古いハブが紛れ込んでいるケースです。

【構成例】 インターネット ⇔ [ギガビットルーター] ⇔ [古い100Mbpsハブ] ⇔ [各部署のギガビットハブ] ⇔ [従業員のPC]

この構成の場合、末端のパソコンや部署のハブがどれだけ最新のギガビット対応であっても、全員の通信が必ず「古いハブ」を通ることになります。結果として、社内全体のインターネット接続速度が100Mbpsを絶対に超えられなくなります。 高額なギガビット回線契約のポテンシャルを、たった数千円の古い機材がドブに捨てている状態です。

③ 社内サーバー(NAS)へのアクセスが激減する

インターネットだけでなく、社内LAN内の通信にも影響が出ます。大容量のデザインデータや動画を共有するNAS(ネットワークHDD)の前に古いハブが挟まっていると、全社員からNASへのアクセス速度が1/10になります。ファイルの保存や展開に数分単位の待ち時間が発生し、業務効率が著しく低下します。

隠れた「ボトルネック」の探し方と解決策

この問題を解決する方法は非常にシンプルです。「古いハブを見つけ出し、最新のギガビット(10/100/1000Mbps)対応ハブに交換すること」です。

社内からボトルネックを根絶するために、以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • 機器の印字を確認する: スイッチングハブの本体(表や裏面)に「10/100M」や「100BASE-TX」と書かれていたらアウトです。「10/100/1000M」や「Gigabit」と書かれているものに買い替えましょう。
  • LEDランプの色を見る: 多くのハブは、接続しているポートの速度をランプの色で判別できます(例:1Gbps通信時は緑、100Mbps時はオレンジなど)。オレンジ色に点灯しているポートがあれば、その先の機器やケーブルが古い可能性があります。
  • デスクの下、OAフロアの中を覗く: 「誰かが勝手に持ってきたハブ」は、ホコリまみれになってデスクの裏や足元に転がっていることがよくあります。

HUBはただの分配器だからどれも一緒ではありません!

ネットワークの不調は目に見えないため解決が難しく感じますが、実は「物理的な機器の古さ」が原因であることは少なくありません。 2.5GbpsのHUBはまだ1万円~2万円程度と高額ですが、1Gbps対応のスイッチングハブは、現在では数千円から購入できる非常に安価な機器です。回線プランのアップグレードを検討する前に、まずは社内に「足を引っ張っている古いハブ」が潜んでいないか、大捜索を行ってみてはいかがでしょうか。

また、HUBだけでなく、高速な通信速度を実現するためにはネットワークケーブルもそれなりのものを利用しなければなりません。以下の関連リンクより、LANケーブルについても正しい知識を持ちましょう!

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